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痴漢で任意同行を求められた! そのまま逮捕? 拒否はできる?

2022年12月15日
  • 性・風俗事件
  • 痴漢
  • 任意同行
痴漢で任意同行を求められた! そのまま逮捕? 拒否はできる?

痴漢の容疑をかけられて、警察から「任意同行」を求められるシチュエーションはさまざまです。たとえば、令和4年4月には、同年2月に所沢市内の駐車場で起きた痴漢事件について、防犯カメラの映像から浮上した容疑者が後日逮捕される事例がありました。

逮捕時の状況は不明ですが、自宅や勤務先などにいきなり警察官がやってきて家族や同僚の眼前で逮捕状を示すようなケースはまれなので、いったんは「警察署で事情を聞かせてもらいたい」という申し向けに加えて任意同行があったものと考えられます。

一方で、事件の現場に警察官が駆けつけたケースでは、その場で現行犯逮捕されたのか、それとも警察署に任意同行を求められたのか判然としないこともあり、紛らわしく感じるかもしれません。

本コラムでは、痴漢事件の容疑をかけられて「任意同行」を求められた場合、そのまま逮捕されることはあるのか、逮捕されそうな状況でどのように行動するべきなのかを解説します。

1、痴漢事件における任意同行とは? 逮捕との違い

痴漢事件を起こすと、警察から「任意同行」を求められることがあります。

任意同行とはどういう意味なのでしょうか? ネット上では「任意同行は拒否できる」といった情報もありますが、本当に拒否しても問題ないのでしょうか?

  1. (1)「任意同行」とは?

    警察官には、異常な挙動や周囲の事情から合理的に判断して、何らかの罪を犯した、あるいはこれから罪を犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由がある者、もしくは犯罪がおこなわれようとしていることについて知っていると認められる者を停止させ、質問できるという権限が与えられています。

    これは、警察官職務執行法第2条1項に規定されている「職務質問」という警察活動です。簡単にいえば、警察官が「事件に関係があるのではないか?」という疑いを抱いた相手に対して声をかけて質問できる権限だと考えればわかりやすいでしょう。

    そして、同条2項には、その場で質問を継続すると本人に対して不利であったり、交通の妨害になったりすると認められる場合には、質問のため対象者に付近の警察署や交番などへの同行を求めることができる旨が定められています。これが「任意同行」の法的な根拠です。

    たとえば、買い物客が多い商業施設の屋内や、通勤などで利用者があふれている駅構内のように、職務質問を受けている状況が衆人環視にさらされれば本人にとって不利益と考えられる状況では、任意同行を求められる可能性が高いでしょう。

  2. (2)任意同行と「逮捕」や「連行」との違い

    任意同行が「警察官に連れ添われて警察署や交番などへ行くこと」だと解釈すれば、「逮捕」や「連行」と同じように考えられるかもしれません。

    しかし、任意同行と逮捕・連行はまったく異なるものです。逮捕とは、犯罪の疑いがある者の逃亡や証拠隠滅を防ぐために身柄を拘束する強制処分のひとつで、現行犯を除き、裁判官が発付した逮捕状がなければ認められません。

    連行は、逮捕された容疑者を警察署などへと強制的に連れて行くことを指すので、逮捕に連動した手続きだといえます。

    逮捕・連行は、いずれも強制的な刑事手続きだと考えれば、任意同行とは性格がまったく異なるものだと理解できるでしょう。

  3. (3)任意同行は拒否できる? 正しい対応とは?

    任意同行とは、その名のとおり「任意」の警察活動です。たとえ犯罪の容疑が濃厚だとしても、警察官が強制的に対象者を連れていくことは許されません。

    すると、任意同行は「任意だから拒否できるのではないか?」と考える方もいるでしょう。たしかに、法律の考え方としては、任意の求めである以上は拒否が可能です。罪を犯したわけでもなく、とくに疑いをかけられる理由もなければ同行を断るのは自由だし、たとえ罪を犯したのが事実でも「かならず応じなければならない」というものでもありません。

    ただし、痴漢の容疑をかけられて職務質問を受けたうえで任意同行を求められている状況なら、不用意な拒否はかえって状況を悪くしてしまいます

    警察官は質問に対する回答や振る舞いなど、一挙手一投足に注目して不審点を探しているので、かたくなに拒否していると「やましいことでもあるのか?」「同行に応じられない理由があるのか?」と強く追及されることになるでしょう。

    たとえいわれのない疑いをかけられた場合でも、なにも説明せずに拒否するだけで職務質問や任意同行を避けるのは困難です。

    許容できる範囲で協力しつつ、任意の範囲を超えた要請にはきぜんと断るのが最善ですが、個人で判断するのは簡単ではありません。現場で対応に悩んだ場合は、その場から弁護士に電話をかけて指示を仰ぐことをおすすめします

2、任意同行されてそのまま逮捕されることはある?

任意同行を求められて警察署や交番などに向かう道中は「このまま逮捕されるのではないか?」という不安を感じることになるでしょう。痴漢の容疑をかけられて任意同行を求められると、その後は逮捕されてしまうのでしょうか?

  1. (1)任意同行後、逮捕状を請求されて通常逮捕されるかもしれない

    任意同行を求められている状況なら、まだ逮捕されたわけではありません。現行犯逮捕されていれば「逮捕する」と告げられて強制的に連行されるので、任意同行とは異なります。

    ただし、任意同行されたあと、詳しい取り調べがおこなわれながら同時進行で逮捕状が請求され、逮捕状にもとづいた「通常逮捕」を受ける危険があります。

    たとえば、痴漢の疑いをかけられたものの、店舗や駅の事務所に通されて職員などに事情を尋ねられたうえで警察に通報されたといったケースでは、時間的な接着性が失われて現行犯逮捕できなくなっているかもしれません。

    また、すでに現場から離れた場所へと移動しており、目撃状況などから発見された場合も、場所的な接着性がないので、やはり現行犯逮捕は不可能です。

    すると、警察としては「まずは任意同行し、事情を確認したうえで逮捕状を請求して逮捕しよう」という手法を取ることがあります。

    痴漢といえば現行犯逮捕を想定している方も少なくないかもしれませんが、後刻・後日の通常逮捕もあるのだと心得ておきましょう

  2. (2)任意同行されてもかならず逮捕されるわけではない

    刑事事件の処理には、逮捕を伴う「身柄事件」と逮捕されない「在宅事件」の二通りがあります。
    そもそも、逮捕は「逃亡・証拠隠滅を図るおそれ」がある場合にのみ許される強制処分であり、警察捜査の基本は「任意」の方法です。

    任意同行を求められたとしても、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがないと判断されれば在宅捜査によって処理される可能性があります。

    取り調べの必要がある都度、呼び出しを受けて警察署に出頭しなければならないという手間がありますが、社会から隔離されずに済むという意味では在宅事件のほうが有利だといえるでしょう。

3、「痴漢罪」は存在しない! 痴漢行為で問われる罪とは?

「痴漢」にあたる行為は犯罪ですが、実は数ある法律のどれをみても「痴漢罪」という名称の犯罪は存在しません。痴漢行為に適用される罪は、状況によって異なります。

  1. (1)迷惑防止条例違反

    痴漢行為に適用される罪でもっとも典型的なのが、都道府県が定める「迷惑防止条例」の違反です。
    埼玉県にも「埼玉県迷惑行為防止条例」が定められており、第2条の2第2項において、痴漢行為を禁止しています。

    公共の場所や公共の乗り物において、正当な理由なく、衣服の上から、または直接、他人の身体に触れる行為は処罰の対象です。

    有罪判決を受けると、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
    また、常習として痴漢行為をはたらいた場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金へと加重されます。

  2. (2)刑法の強制わいせつ罪

    迷惑行為防止条例違反よりも強度の痴漢行為には、刑法第176条の「強制わいせつ罪」が適用されます。「暴行または脅迫をもちいてわいせつな行為をした者」を罰する犯罪ですが、たとえ殴る・蹴るといった暴力や脅しを用いていなくても、相手の抵抗を抑えつけるほどのわいせつ行為は本罪の対象です。

    迷惑防止条例違反と区別する基準は明確ではありませんが、一般的には衣服の下に手を差し込んで身体を触ったり、衣服の上からでも執拗(しつよう)に胸や陰部といった性的な部位を触ったりする行為には強制わいせつ罪が適用されます。

    法定刑は6か月以上10年以下の懲役で、罰金の規定はありません。有罪判決を受けるとかならず懲役が科せられるうえに、最低でも6か月、最高では10年もの懲役を受ける重罪です。

4、痴漢で任意同行を求められたらただちに弁護士に連絡を!

痴漢の容疑をかけられたなら、逮捕や在宅事件としての捜査を想定して素早くアクションを起こさなくてはなりません。

とくに任意同行を求められている状況では、その場でただちに弁護士に連絡して指示を仰ぎましょう。

  1. (1)不当な逮捕・身柄拘束を防ぐ

    任意同行は、あくまでも「任意」の警察活動です。

    無理やり腕を引っ張って警察署などに連れていかれたり、パトカーに押し込まれたりするといった状況がある場合は、実質的に逮捕と同じで任意性を欠いているため不当逮捕にあたると考えられます。
    警察に逮捕されると、その後の勾留とあわせれば合計23日間にわたる身柄拘束を受けるおそれがあるので、不当な逮捕はなんとしても避けなければなりません。

    任意同行を求められている現場から弁護士に連絡すれば、不当な逮捕を避けるために取るべき対応についてアドバイスを得られます。場所によっては、弁護士が現場に急行して警察官に任意同行の理由や必要性を問い詰めたうえで、任意同行を拒否できる可能性もあるでしょう。

  2. (2)被害者との示談交渉で早期解決を図る

    痴漢行為をはたらいたのが事実なら、適用される犯罪に応じて刑罰が科せられる危険があります。
    できる限り穏便に解決したいと望むなら、弁護士に依頼して被害者との示談交渉を進めるのが最善策となるでしょう。

    痴漢事件における示談とは、被害者に対して真摯(しんし)に謝罪したうえで、精神的苦痛への慰謝料を含む示談金を支払うことで許しを請い、被害届の提出を控えてもらったり、すでに提出済みの被害届を取り下げてもらったりする解決方法です。

    示談が成立すれば、被害者に「犯人を罰してほしい」という意思がなくなったものと評価されるので、捜査が終結し、逮捕や刑事裁判が見送られる可能性が高まります

    ただし、痴漢事件の被害者は、加害者に対して強い怒りや嫌悪を感じているケースが多いので、容疑をかけられている本人やその家族が示談交渉をもちかけても相手にしてもらえないかもしれません。
    示談成立を目指すなら、公平・中立な第三者である弁護士に依頼したほうが安全です。

5、まとめ

痴漢の容疑をかけられて、警察官に「任意同行」を求められている状況なら、その後の逮捕や在宅事件としての捜査を受けるおそれも視野に対応しなくてはなりません。法律の考え方では任意同行を拒否しても問題はありませんが、現実的には現場の警察官があきらめてはくれないでしょう。

かたくなに拒否していると、時間を引き延ばしている間に逮捕状を請求されてしまったり、あるいは不当逮捕されてしまったりする危険も増します。現場で正しい判断を下すのは難しいので、その場からただちに弁護士に連絡して指示を仰ぐのがもっとも安全です

痴漢容疑をかけられて任意同行を求められている状況にお困りなら、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスにご相談ください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、早期の解放や不当な逮捕の回避を目指して全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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