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月残業200時間!? 労働時間の考え方と過労死ライン、退職に向けてやるべきこと

2021年10月21日
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月残業200時間!? 労働時間の考え方と過労死ライン、退職に向けてやるべきこと

労働者のなかには、繁忙期などで所定労働時間内では仕事が終わらずに、毎日長時間の残業を強いられた結果、月の残業時間が200時間を超えたという経験のある方もいるかもしれません。月の残業時間が200時間を超えてくると、プライベートの時間はほとんどなく、十分な睡眠時間もとれない状況であるといえます。

このような長時間労働を強いられた場合には、労働者としてはどのように対処したらよいのでしょうか。

今回は、労働時間の考え方と過労死ラインなどについて、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスの弁護士が解説します。

1、月200時間の残業は過労死ラインを超えている

月200時間の残業にはどのようなリスクが存在しているのでしょうか。以下では、長時間労働と過労死ラインとの関係について説明します。

  1. (1)過労死ラインとは

    過労死ラインとは、労働者に発生した脳や心臓疾患を労災として認定する際の基準のことをいいます

    脳や心臓疾患は、その発症の基礎となる動脈硬化や動脈瘤といった血管病変が加齢、食生活、生活環境などの日常生活上のさまざまな要因によって形成され、徐々に進行・増悪して突然発症するものです。しかし、長時間労働などによって過重な負荷を受けた場合にも血管病変が著しく増悪して、脳や心臓疾患が生じることがあります。このような場合には、労働災害として、労災保険から一定の補償給付を受けることができます。

    具体的な過労死ラインとしては、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなればなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まると評価でき、発症前1か月間におおむね100時間または発症前2~6か月平均80時間を超える時間外および休日労働が認められる場合には、業務と発症との関連性が強いと評価できるとされています。

  2. (2)月200時間の残業の危険性

    月200時間の残業をした場合には、上記の過労死ラインである月平均80時間という基準を大幅に超える残業時間です

    月の出勤日数が22日であったとすると、1日あたり平均して約9時間の残業をしたことになります。始業時間が午前9時、就業時間が午後6時の会社の場合には、就業時間後さらに9時間の残業をすることになり、仕事を終えて帰ることができるのは、翌日の午前3時になってしまいます。そこから自宅に帰って食事や入浴に時間を使うことになるとすると、ほとんど睡眠に充てることができる時間はありません。

    毎日このような長時間の残業が続いてしまうと、心身ともに著しく疲弊した状態となってしまいます。

    過労死ラインは、医学的な根拠に基づいて脳や心臓疾患の危険性が高まる基準を定めたものであり、過労死ラインを大幅に超える残業をしている場合には、脳や心臓疾患のリスクが非常に高い状態であるといえます。

2、長時間残業は法律で上限が決められている

長時間残業について法律上どのような規制があるのでしょうか。以下では、労働基準法上の労働時間の原則と時間外労働の上限規制との関係について説明します。

  1. (1)労働基準法の法定労働時間

    労働基準法では、労働者の原則的な労働時間として、法定労働時間を規定しています。法定労働時間とは、1日8時間、1週40時間を原則とする労働時間のことをいい、それを超えて労働者に労働をさせることは、原則として認められません

  2. (2)36協定による時間外労働

    上記の労働基準法上の法定労働時間については、例外があり、使用者と労働者の代表者との間で、時間外労働に関する労使協定(36協定)を締結して、労働基準監督署に届け出ることによって、法定労働時間を超えて労働者に労働をさせることができます。

    ただし、36協定を締結したとしても、上限なく時間外労働を行わせることができるわけではなく、月45時間、年360時間という法律上の規制があります。

  3. (3)時間外労働の上限規制

    上記の36協定による時間外労働の上限に関しては、さらに例外があり、臨時的な特別の事情がある場合には、特別条項付きの36協定を締結することによって、月45時間、年360時間を超えて時間外労働を行わせることが可能となります

    従来は、特別条項付きの36協定を締結することによって上限なく時間外労働を行わせることができ、それによって、過重な労働を強いられた労働者が過労死するなどの悲惨な事故が起きていました。働き方改革においては、このような長時間労働を改善するために、特別条項付きの36協定を締結したとしても、超えることのできない上限を新たに設けることになりました。

    具体的な内容としては、以下のとおりです。

    • 時間外労働が年720時間以内
    • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
    • 時間外労働と休日労働の合計について、2か月平均、3か月平均、4か月平均、5か月平均、6か月平均がすべて1月あたり80時間以内
    • 時間外労働が45時間を超えることができるのは、年6か月が限度


    このような時間外労働の上限規制に違反した場合には、使用者に対して6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます

3、月200時間以上の残業が改善されないとき

月200時間以上の残業を強いられている場合には、過労死のリスクが非常に高い状況となります。そのため、労働者としては、過重労働による健康被害が生じる前に、以下のような対応をするようにしましょう。

  1. (1)会社に対する改善要求

    月200時間以上の残業が続く場合には、まずは、上司、人事、管理職などに対して現状を伝えて、担当している業務量を減らしてもらうか、人員を増やしてもらえるように相談をしてみましょう。

    会社側としても長時間労働に対して問題意識を有している場合には、現場の労働者からの生の声を聞くことによって、積極的に長時間労働の改善に取り組んでくれることがあります。

    しかし、長時間労働は当たり前だという考え方を有していたり、人員を増やす余裕がないという場合には、会社に対して改善要求をしたとしても、積極的に動いてはくれないでしょう。

  2. (2)労働基準監督署への相談

    会社に対して改善要求をしても、長時間労働の現状が改善されない場合には、労働基準監督署に相談をしてみるとよいでしょう。

    労働基準法違反の事実がある場合には、労働基準監督署は、会社に対して調査を行い、指導や是正勧告を行ってくれます。月200時間の残業時間がある場合には、労働基準法の残業時間の上限規制に明確に違反する状態ですので、労働基準監督署に相談をすることによって、現状の違法な労働時間については改善される可能性があります。

  3. (3)退職

    労働基準監督署に相談をしたとしても、すぐに指導や是正勧告をしてくれるわけではありません。そのため、長時間の残業によって体調に異変が生じている場合には、退職することも検討する必要があります。このまま長時間労働が続くと、脳や心臓疾患のリスクが高まり、最悪のケースでは、過労死に至るということもあります。体調を崩してしまってからでは、転職や再就職が困難になってしまいますので、早めに退職に向けて行動するとよいでしょう。

    なお、長時間労働が常態化している職場では、未払いの残業代が生じていることがありますので、退職する前に未払いの残業代の有無をしっかりと確認しておくようにしましょう

4、退職代行や残業代請求は弁護士へ相談

長時間残業が常態化している会社を辞めようとしても、なかなか辞めさせてもらえないということがあります。そのような場合には、弁護士に相談をして、退職代行や残業代請求を行ってもらうとよいでしょう。

  1. (1)退職代行を行うことができる

    会社に対して退職したい旨申し出たとしても、さまざまな理由をつけて辞めさせてもらえないことがあります。また、会社を辞めたいと思ったとしても、なかなか自分から言い出せないということもあります。

    そのような場合には、弁護士に依頼をして退職代行をしてもらうことをおすすめします。退職代行とは、労働者に代わって退職手続きを行うサービスのことをいいます。最近では、弁護士以外の退職代行業者が退職代行サービスを提供していますが、そのような退職代行業者では退職の意思を伝えることはできたとしても、退職金の話し合いや未払いの残業代の請求を行うことはできません。

    退職に関する一切の手続きを任せることができるのは、弁護士だけですので、退職代行を検討している労働者の方は、弁護士に相談をするようにしましょう。

  2. (2)残業代請求を行うことができる

    長時間労働が常態化している企業では、残業代がきちんと支払われていない可能性があります。時間外労働をした場合には、その対価である残業代を請求するということが労働者の正当な権利ですので、未払いの残業代がある場合には、会社に対して請求していく必要があります。

    その際には、弁護士に依頼をすることによって、面倒な残業代計算や証拠の収集だけでなく、会社との交渉や労働審判・訴訟といった手続きまですべてを任せることができます。残業代請求に不慣れな労働者の方では、これらの手続きを適切に行っていくことは難しく、会社と交渉をすることによって精神的負担も生じてしまいます。労働問題の経験豊富な弁護士であれば、これらの手続きについて問題なく進めていくことができますので、安心して任せることができます。

    残業代は、一定期間が経過すると時効によって権利が消滅してしまいますので、残業代請求を検討している労働者の方は、早めに弁護士に相談をするようにしましょう。

5、まとめ

月の残業が200時間にもなっている場合には、過労死ラインを大幅に超える労働時間であり、過労死のリスクが非常に高いといえます。健康被害が生じる前に、退職の手続きを進めるとともに、未払いの残業代がある場合にはしっかりと請求していきましょう。

長時間労働でお悩みの労働者の方は、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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