自己破産をすると会社にバレる? バレるケースと対処法
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裁判所が公表している司法統計によると、令和3年にさいたま地方裁判所に申立てのあった破産事件の件数は、4063件でした。
借金の返済が困難になったときは、自己破産をすることで、借金をゼロにできる可能性があります。しかし、自己破産を検討中の方のなかには、「会社にバレてしまうのではないか」と心配して、躊躇する方もいらっしゃるかもしれません。
自己破産をしたことが会社にバレる可能性はゼロではありませんが、しっかりと対策しておくことでバレる可能性を低くすることはできます。今回は、自己破産が会社にバレるケースとバレないための対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスの弁護士が解説します。
1、自己破産をしたことが会社に通知されることはない
自己破産をしたことが破産者の勤務先に通知されるということはありません。
裁判所や債権者が破産者の会社に直接問い合わせをするということもありませんので、基本的には、自己破産をしたことが会社にバレる可能性は低いといえるでしょう。
しかし、以下の章で説明するとおり、例外的に自己破産が会社にバレるケースもありますので、「絶対にバレない」と言い切ることもできません。
会社にバレることが心配だという方は、弁護士と相談しながら適切な対策をすることで、会社にバレる可能性を低くすることは可能です。
2、自己破産が会社にバレるケース
自己破産が会社にバレるケースとしては、以下のケースが挙げられます。
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(1)会社に借金がある
自己破産をする場合には、すべての債権者が自己破産の対象になり、特定の債権者だけを除いて手続きを進めることができません。
会社に借金がある場合には、会社も債権者に含まれますので、破産申し立ての際には、会社を債権者として裁判所に届け出る必要があります。
これによって破産手続きが開始したこと、免責許可決定を受けたことなどの通知が裁判所から会社に行くことになりますので、自己破産をしたことがバレてしまいます。 -
(2)退職金証明書を取り寄せた
自己破産の申立ての際には、破産者が保有している資産に関する資料を提出しなければなりません。
会社に勤務している場合には、勤続年数に応じた退職金が発生しますので、現時点で退職した場合に発生する退職金も破産者の資産に含まれることになります。
この場合、裁判所に「退職金見込額証明書」を提出する必要がありますが、会社に退職金見込額証明書の発行を依頼した際に、「使途は何ですか?」と聞かれる可能性があるので注意が必要です。 -
(3)給料の振込先口座を変更した
給料の振込先口座である金融機関からも借り入れがある場合には、その金融機関も債権者に含まれます。
金融機関に債務整理に着手した旨の通知を送ると、金融機関は、預金残高と貸付金とを相殺してしまいます。そのため、事前に、預金を引き出したり、給料の振込先口座を変更したりする必要があります。
会社に給料の振込先口座の変更をお願いする際に理由を聞かれることがありますが、その際に、「自己破産のため」などと説明してしまうと会社に自己破産がバレてしまいます。 -
(4)会社が官報を確認している
自己破産をした場合には、官報(国が発行する機関誌)に破産者の氏名や住所が掲載されます。会社が官報を確認している場合には、官報に掲載されたタイミングで自己破産がバレてしまう可能性があります。
しかし、日常的に官報を確認している会社は、ほとんどありませんので、官報によって自己破産がバレてしまう可能性は低いといえます。 -
(5)資格制限で仕事ができなくなる
自己破産の手続き中は、一定の資格や職業に就くことが制限されることがあります。このような資格や職業に就いている方は、会社に報告する必要がありますので、それによって自己破産がバレてしまいます。
自己破産によって制限される資格や職業の例としては、以下のようなものが挙げられます。- 弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、社会保険労務士
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 生命保険外交員
- 会社の取締役
3、会社にバレたくない場合の対処法は?
自己破産をしたことを会社にバレたくない場合には、以下の対処法を検討しましょう。
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(1)弁護士に相談する
会社に自己破産がバレるか心配だという方は、まずは弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。
弁護士に相談をすれば、自己破産の手続きの流れや会社にバレる可能性のあるケース、それを防ぐための手立てなどをアドバイスしてもらえます。会社にバレるのではと心配していた方も、安心して自己破産の手続きを進めることができるでしょう。 -
(2)他の債務整理を検討する
会社から借り入れをしている場合には、自己破産をすると会社も債権者に含めなければなりませんので、どうしても自己破産をしたことがバレてしまいます。
しかし、債務整理には、自己破産以外にも任意整理や個人再生といった手続きがあります。個人再生は、自己破産と同様に裁判所を利用する手続きですので、すべての債権者を対象にしなければなりませんが、任意整理であれば裁判所を利用しない手続きですので、特定の債権者のみを除外して債務整理を進めていくことができます。
どうしても会社に自己破産をバレたくないという場合には、自己破産ではなく任意整理も検討してみるとよいでしょう。
ただし、任意整理では、自己破産のように借金をゼロにするという効果はなく、将来利息のカットや支払い条件の変更などがメインになってきます。そのため、借金総額によっては任意整理では十分な効果が得られないケースもあります。どのような方法を選択すべきかは、弁護士と相談しながらすすめていくとよいでしょう。
4、自己破産手続きを検討した場合に弁護士相談すべき理由
自己破産の手続きを検討中の方は、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)自己破産のメリット・デメリットを説明してもらえる
自己破産は、基本的にはすべての借金の返済義務を免除してもらえるという大きなメリットがあります。しかし、一定金額以上の資産を持っている場合にはすべて手放さなければならず、保証人がいる場合には保証人に迷惑をかけてしまう可能性があります。
このように、自己破産には、メリットだけでなくデメリットもあるので、本当に自己破産が最適な方法であるかは、弁護士でなければ判断できません。
自己破産を検討中の方は、まずは弁護士に相談をして、何が最適な方法であるかを判断してもらうとよいでしょう。 -
(2)債権者からの取り立てをストップできる
弁護士に依頼をすると、弁護士は、各債権者に対して、受任通知という書面を送付します。受任通知とは、弁護士が債務整理に着手したことを債権者に知らせる書面です。弁護士から受任通知を受け取った債権者は、債務者への直接の取り立てが禁止されます。
そのため、債権者への返済も一時的にストップしますので、その間に、経済的再建を図ることもできます。今の辛い状況を抜け出すためには、早めに弁護士に相談することが大切です。 -
(3)書類の作成や裁判所とのやり取りを任せることができる
自己破産の申立てをする際には、収支状況、資産内容、債権者一覧表など膨大な資料の収集・作成が必要になります。自己破産は、本人申立ても可能ですが、これらの書類を漏れなく収集・作成するのは、一般の方では非常に困難だといえます。
弁護士に依頼をすれば、書類の収集・作成や裁判所とのやり取りを一任できるため、スムーズに自己破産の手続きを進めることが可能です。また、自己破産の実績がある弁護士に任せた方が、裁判所から免責(返済義務の免除)を得られる可能性も高くなるといえるでしょう。
5、まとめ
自己破産をしたことが会社にバレるのが心配で、手続きを躊躇してしまう方も少なくありません。しかし、バレないよう注意して進めることで、会社にバレる可能性を低くすることはできます。
少しでも不安な気持ちがある方は、自己破産や債務整理の実績が豊富な弁護士に相談してみるとよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスには、借金トラブルの対応経験がある弁護士が在籍しています。まずはお気軽にご相談ください。
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