慰謝料を請求した相手が「お金がない」と言ってきた場合の対処方法
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埼玉県が公表している統計資料によると、令和2年の埼玉県内での離婚件数は、1万659件で、前年よりも1408件減少しました。また、埼玉県内での離婚率は、平成13年をピークに、減少傾向にあります。
配偶者による不倫が発覚した場合には、これ以上婚姻関係を継続することができないと感じ、離婚に踏み切る方も少なくないでしょう。配偶者による不貞行為は、法定離婚事由に該当するとともに、慰謝料の請求も可能となります。しかし、不倫をした配偶者から「慰謝料を支払うお金はない」と言われてしまった場合には、どのように対処したらよいのでしょうか。
今回は、慰謝料を請求した相手が「お金がない」と言ってきた場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスの弁護士が解説します。
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1、まずは本当に相手に「お金がない」のか調査を
慰謝料請求をした配偶者や不倫相手から「お金がない」と言われた場合には、本当に相手にお金がないのかを調査することが大切です。
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(1)相手の資力調査の方法
相手の資力調査の方法としては、以下の方法が挙げられます。
① 収入の調査
慰謝料の支払い方法は、一括払いが原則となりますが、一括払いに対応することができるだけの資力がない場合には、分割払いを検討することになります。
その際に重要となるのが、相手に定期的な収入があるかどうかです。会社から毎月給料をもらっている場合には、毎月の給料から一定額を慰謝料の支払いにまわしてもらうことができます。そのため、相手にどの程度の収入があるかどうかを明らかにするために、相手から給与明細や源泉徴収票の提出を求めましょう。
② 預貯金の調査
相手が「お金がない」と言ったとしても、その言葉をすぐに信用してはいけません。高額な慰謝料を支払いたくないという理由から嘘をついている可能性もありますので注意が必要です。
相手が「お金がない」と言っている場合には、本当にお金がないかどうかを確かめるために、相手に預貯金通帳の開示を求めましょう。相手が保有しているすべての預貯金通帳を確認することによって、本当に慰謝料を支払うだけのお金がないかどうかを判断することができます。
③ 不動産の調査
慰謝料の支払いをするための現金や預貯金がなかったとしても、不動産を所有している場合には、不動産を売却することによって、慰謝料の支払いが可能になることもあります。
そのため、相手が所有している不動産の調査も必要になります。
相手が所有している不動産については、市区町村役場で名寄帳を取得することによって、当該市区町村内の所有不動産をすべて明らかにすることができます。また、住宅ローンなどの担保が付いている場合には、不動産からの慰謝料の回収は難しくなりますので、法務局で登記事項証明書を取得し、担保の有無についても確認することが必要です。 -
(2)資力調査で弁護士ができること
上記のような相手の財産調査は、当事者本人でも対応することができますが、不慣れな方では、相手に言いくるめられてしまい、相手の財産を明らかにすることができないこともあります。そのため、相手の資力調査は、弁護士に相談・依頼をして行うことをおすすめします。
また、相手の職業や経歴によって、必要となる財産調査の方法が異なってきますので、弁護士に相談をすることによって、最適な調査方法のアドバイスをもらうことができます。
お問い合わせください。
2、相手に「お金がない」場合の対処法
調査の結果、本当に相手に「お金がない」という場合には、以下のような対処法が考えられます。
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(1)親や親族からの立て替えによる支払い
相手にお金がない場合には、相手の親や親族に立替払いをしてもらえないかどうか聞いてみるとよいでしょう。
ただし、慰謝料の支払い義務は、不倫をした本人のみに課されているものですので、相手の親や親族には、立替払いに応じなければならない法的義務はありません。あくまでも自発的に対応してもらえる場合にのみ、利用できる手段となります。 -
(2)請求額の減額
こちらの請求額を一括で支払うだけの資力がないという場合であっても、請求額を減額することによって、一括での支払いが可能になることもあります。
金額にこだわって分割払いにした場合には、将来相手が支払いを怠るリスクが生じますので、多少減額したとしても一括払いの方がメリットが大きいこともあります。そのため、金額次第ではありますが、相手に請求する慰謝料額の減額も検討してみるとよいでしょう。
弁護士であれば、不倫慰謝料の金額の相場を把握していますので、どの範囲の慰謝料減額であれば妥当であるかを判断することができます。相手との交渉によって、より有利な金額で合意を成立させるため働きかけますので、一人で交渉することが不安だという方は、弁護士に相談をするとよいでしょう。 -
(3)分割払いの検討
一括払いをするだけの資力がないという場合には、分割払いを検討することになります。ただし、分割払いにしてしまうと、将来支払いを怠る可能性も生じますので注意が必要です。
やむを得ず分割払いにすることになったという場合には、将来のリスクを少しでも軽減するために、公正証書の作成をおすすめします。公正証書にする最大のメリットは、相手が支払いを怠った場合に、直ちに強制執行の申し立てをして、相手の財産を差し押さえることができるという点です。
当事者間での合意書や示談書では、強制執行の前提として、裁判を起こさなければならず、差し押さえをするまでに時間と手間がかかりますが、公正証書にしておくことによってそのような負担を回避することが可能です。弁護士に依頼をすれば、公正証書作成のサポートをしてもらうことも可能です。
3、お金があっても隠していた場合の対処法
相手が「お金がない」と言っていても、お金を隠しているだけであるケースもあります。そのような場合には、以下のような対処法が考えられます。
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(1)相手との交渉
お金を隠している疑いがある場合には、まずは、交渉によってすべての資産を開示するように求めていきます。
また、弁護士に依頼をすれば、交渉によって慰謝料支払いの合意が成立した場合に、将来の強制執行の可能性も視野に入れた上で、公正証書を作成することができます。 -
(2)訴訟提起
相手が任意に資産の開示に応じない場合や慰謝料の支払いに応じないという場合には、裁判所に慰謝料請求訴訟を提起することになります。離婚に伴って慰謝料請求をする場合には、訴訟提起の前提として、離婚調停の申し立ても必要になります。
裁判では、慰謝料を請求する側において、相手が不倫をしたということを証拠によって立証していかなければなりません。そのため、裁判を進めていくにあたっては、専門家である弁護士のサポートが不可欠となります。 -
(3)強制執行
裁判の結果、慰謝料の支払いを認める勝訴判決が出たとしても、相手が任意に支払いに応じない場合には、強制執行の申し立てが必要になります。強制執行をする場合には、申立人の側で強制執行の対象となる財産を特定して行わなければなりませんので、相手の財産を把握していない場合には、強制執行を断念しなければならないこともあります。
弁護士であれば、財産開示手続きや第三者からの情報取得手続きによって、財産を隠している相手であってもその財産を明らかにすることが可能です。「お金がない」と言う相手であっても、弁護士に任せれば慰謝料を回収することができる可能性が高くなるでしょう。
4、離婚問題全般に関して弁護士ができること
離婚問題でお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)相手との交渉を任せることができる
離婚問題が生じた場合には、まずは、当事者同士で話し合いをして離婚をするかどうか、離婚をする場合にはどのような条件で離婚をするかを決めていかなければなりません。しかし、当事者の関係性や離婚に至る経緯によっては、当事者同士で顔を合わせて話し合いをすることが難しいという場合もあります。
そのような場合には、弁護士にお任せください。弁護士であれば、当事者の代理人として相手と交渉をすることができますので、面倒な話し合いはすべて弁護士に任せることができます。弁護士は、離婚に関する豊富な知識を備えていますので、当事者自身で交渉をするよりも有利な条件で離婚をすることができる可能性が高くなります。 -
(2)慰謝料以外のお金についてもアドバイスをもらえる
離婚をする際には、慰謝料以外にも、養育費、婚姻費用、財産分与などお金の問題が発生します。離婚をすると経済的な不安が生じるため、なかなか離婚に踏み切ることができないという方も多いですが、弁護士から離婚時にもらうことができるお金について適切なアドバイスをもらうことができれば、離婚後の生活にも見とおしがつき、離婚に向けて一歩踏み出すことができる可能性もあります。
離婚時に相手からとれるお金について、不利な条件にならないようにするためにも、離婚前に一度弁護士に相談をすることをおすすめします。
5、まとめ
慰謝料請求をした相手から「お金がないから支払えない」と言われることがあります。そのように言われたとしてもすぐに慰謝料請求を諦めるのではなく、弁護士に依頼をして、相手の財産調査を行い、本当にお金がないのかどうかをチェックすることが大切です。
また、本当にお金がなかったとしても、分割払いなどの方法によって慰謝料の支払いが可能になることもありますので、まずは弁護士に相談をするようにしましょう。
離婚問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスまでお気軽にご相談ください。
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