フキハラを理由に離婚したい! 離婚の進め方や慰謝料請求の注意点

2025年03月12日
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フキハラを理由に離婚したい! 離婚の進め方や慰謝料請求の注意点

フキハラとは、不機嫌な態度や言動をとることで相手に不快感や精神的苦痛を与える行為です。配偶者からフキハラをされている場合、今後の夫婦生活に不安を抱き、離婚を考える方もいるでしょう。

しかし、フキハラを理由に離婚することはできるのでしょうか。また、相手が離婚に同意してくれない場合には、どうすれば離婚を成立させることができるのでしょうか。

今回は、フキハラとは何か、フキハラを理由に離婚する方法などについて、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスの弁護士が解説します。


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1、不機嫌ハラスメント(フキハラ)とは?

不機嫌ハラスメント(フキハラ)とはどのようなものなのでしょうか。以下では、フキハラの定義とフキハラに該当する具体的な行動を説明します。

  1. (1)フキハラとは

    フキハラとは、「不機嫌ハラスメント」の略称で、不機嫌な態度や言動をあからさまにし、相手に不快感や精神的苦痛を与える行為をいいます。

    精神的苦痛を与えるという点では、モラハラと共通する面もありますが、モラハラは相手に対する直接的な言動であるのに対して、フキハラは不機嫌な態度をとることで間接的に精神的苦痛を与えるという違いがあります。

  2. (2)フキハラに該当する具体的な行動

    フキハラに該当する可能性のある行動としては、以下のようなものがあります。

    • 「おはよう」「ただいま」と声をかけても挨拶してくれない
    • 話しかけても無視をされる
    • ドアの開閉や足音などで、わざと大きな生活音を立てる
    • 頼みごとをするとため息をついたり、舌打ちをしたりする
    など


    こうした配偶者の行為に傷つき、精神的に苦痛を感じている場合、フキハラをされている疑いがあります。

2、配偶者のフキハラを理由に離婚する方法

配偶者によるフキハラを理由に離婚することはできるのでしょうか。以下では、配偶者のフキハラを理由とする離婚の方法について説明します。

  1. (1)お互いに離婚の合意に至れば離婚可能|協議離婚・調停離婚

    ① 協議離婚
    夫婦が離婚をする場合、まずは夫婦で離婚の話し合いをしていくことになります。夫婦が互いに話し合い、離婚に至る方法を「協議離婚」といいます。
    協議離婚では、お互いが合意していれば、基本的にどのような理由であっても離婚することができます。そのため、離婚理由が配偶者によるフキハラであっても離婚が可能です。

    ② 調停離婚
    夫婦の話し合いでは離婚の合意に至らないときは、次の段階として、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。
    離婚調停とは、家庭裁判所で、調停委員を介して話し合いを進める手続きになります。話し合いの結果、相手が離婚に合意すれば離婚することができます。
    離婚調停では調停委員が間に入るため、直接の話し合いを回避できます。そのため、「不機嫌な態度がつらい」「顔を合わせて話したくない」という場合は有効な手段といえます。

  2. (2)裁判離婚をするには法定離婚事由が必要

    離婚調停でも離婚の合意が得られない場合は、最終的に裁判所に離婚訴訟を提起する必要があります。

    離婚訴訟では、夫婦の話し合いではなく、裁判官が離婚の可否を判断します。その際に重要になるのが法定離婚事由に該当するかです。

    民法では、以下の5つの事由を法定離婚事由と定めています。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • 回復の見込みのない強度の精神病
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    裁判離婚をするには、上記の法定離婚事由に該当する事情が必要になります。フキハラが法定離婚事由に該当するかどうかについては、次章で詳しく説明します。

3、フキハラは法定離婚事由に該当するのか?

相手が離婚に合意してくれないときは離婚訴訟を提起することになりますが、フキハラは、裁判離婚に必要な法定離婚事由に該当するのでしょうか。

  1. (1)フキハラは「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性あり

    フキハラは、法定離婚事由のひとつである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

    「その他婚姻を継続難い重大な事由」に当たるかは、以下をもとに判断されます。

    • 配偶者の問題行動
    • 子どもの有無や年齢
    • 婚姻継続意思の有無
    • 家族の精神的または身体的な負担
    • 家庭内の信頼関係の喪失
    など


    上記のような婚姻中の事情を考慮して、婚姻関係が回復の見込みがないか判断されます。

    「その他婚姻を継続難い重大な事由」とは、婚姻中の当事者の言動、子どもの有無や年齢、婚姻継続意思の有無など婚姻中の一切の事情を考慮して、婚姻関係が回復の見込みがない程度に破綻しているといえる場合をいいます。

    「婚姻中の言動=フキハラ」により婚姻関係が破綻したと評価されれば、裁判離婚が認められる可能性があります。

    ただし、裁判では、「配偶者によるフキハラがあった」と主張するだけでは足りません。具体的にどのようなハラスメントがあったのかを、証拠により立証していく必要があります

  2. (2)フキハラを理由に離婚するなら証拠が必要

    フキハラを理由に離婚する場合、フキハラがあったことを裏付ける証拠が必要になりますが、具体的な証拠としては、以下のようなものが挙げあれます。

    • 相手の言動を記録した録画や録音データ
    • フキハラにより精神疾患を発症した診断書や診療記録
    • フキハラの事実を記録した日記やメモ
    • 相手とのメールやLINEの内容
    など


    録画や録音データがあれば、フキハラがあったことを立証できる有力な証拠になります。

    もし証拠がなかったとしても、メモや診断書などを組み合わせることによってフキハラがあったことを立証する証拠になりえます。可能な範囲で、できるだけ多くの証拠を集めていきましょう

4、離婚を決断している方が弁護士に相談するメリット

フキハラによる離婚を決断された方は、以下のようなメリットがありますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)離婚条件の取り決めで不利にならないように専門的なアドバイスを受けられる

    夫婦が離婚する際には、離婚以外にも以下のような離婚条件の取り決めが必要になります。

    • 親権
    • 養育費
    • 面会交流
    • 慰謝料
    • 財産分与
    • 年金分割


    離婚条件の決め方には、それぞれルールがあります。

    たとえば、養育費であれば、裁判所が公表している養育費算定表を利用することで、相場となる金額を知ることができます。相手の主張のままに養育費を決めてしまうと、不利な金額になるおそれがあるので注意が必要です。

    相手とのやり取りが不安な場合は、弁護士に相談することをおすすめします。状況に応じた最適な離婚条件を知ることができ、交渉や法的な手続きのサポートを受けられるため、離婚条件の取り決めで不利になる事態を回避できるでしょう。

  2. (2)フキハラをする配偶者との交渉が精神的に困難な場合、交渉の代理をお願いできる

    離婚をする際には、まずは相手との話し合いが必要になります。しかし、フキハラにより不機嫌な態度をとられたり、無視されたりするなど、話し合いが困難なケースも少なくありません。

    このような場合には弁護士に相手との交渉を依頼するのがおすすめです。フキハラによる精神的負担を軽減することができ、ます。スムーズに離婚の話し合いを進めることができるでしょう。

  3. (3)法的手続きのサポートを受けられる

    フキハラをする相手との話し合いでは離婚の合意に至らないときは、離婚調停や離婚裁判といった法的手続きが必要になります。

    弁護士は、調停に同行も可能です。弁護士が調停委員への説明や主張を補足し、サポートすることで、初めての調停であっても安心して臨むことができるでしょう。

    また、調停が不成立になった場合も、弁護士のサポートですみやかに離婚裁判に移行できます。手続きも弁護士が対応しますので、裁判所に出頭する必要がなくなります。また、有益な証拠集めのアドバイスやサポートも受けられるため、有利な条件で離婚できる可能性が高くなるでしょう

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5、まとめ

フキハラとは、「不機嫌ハラスメント」の略称で家庭内での不機嫌な態度が家族にストレスを与える行為をいいます。フキハラを理由に離婚することは法的に可能ですが、相手の合意がない場合には、協議離婚や調停離婚での離婚は困難ですので裁判離婚を目指すことになります。

また、相手が離婚を拒み、裁判離婚となった場合、フキハラという理由だけでは法定離婚事由に該当しない可能性があります。証拠集めや相手との交渉は、離婚トラブルの実績がある弁護士のサポートが重要です。

フキハラを理由に相手との離婚を決断しているときは、離婚問題の解決実績がある弁護士のサポートが重要です。まずはベリーベスト法律事務所 所沢オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています