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労災が認定されなかった場合は健康保険なら使える? 必要な手続き

2022年10月27日
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労災が認定されなかった場合は健康保険なら使える? 必要な手続き

埼玉労働局が公表している労働災害に関する統計資料によると、令和3年の埼玉県内における労災発生件数は、7837件でした。そのうち、所沢労働基準監督署管内における労災発生件数は、1018件でした。

仕事中や通勤中の怪我については、労働基準監督署による労災認定を受けることによって、怪我の治療費などが労災保険から支給されます。では、労災認定を受けることができなかった場合には、治療費は誰がどのように負担することになるのでしょうか。また、労災の不認定に納得ができない場合にはどのように対応したらよいのでしょうか。

今回は、労災が認定されなかった場合の手続きについて、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスの弁護士が解説します。

1、労災認定がされなかったら医療費は自己負担に

仕事中や通勤中の出来事が原因となって、負傷したり、病気になったり、死亡した場合には、労働基準監督署による労災認定を受けることができます。

そして、労災認定を受けることができれば、以下のような労災保険給付を受けることができます。

  • 療養(補償)給付
  • 休業(補償)給付
  • 障害(補償)給付
  • 遺族(補償)給付
  • 葬祭料、葬祭給付
  • 傷病(補償)年金
  • 介護(補償)給付


怪我をした場合の病院の治療費は、労災保険の「療養(補償)給付」によって全額支給されますので、被災した労働者の方が負担する医療費はありません。

しかし、労災認定を受けることができなかった場合には、労災保険を利用することができませんので、病院での治療費は被災した労働者が全額負担しなければなりません。ただし、労災保険が使えない場合には、健康保険を利用することができる可能性がありますので、健康保険を利用することによって、医療費の自己負担額を3割程度に抑えることができます。

2、自己負担を避け健康保険を使えるようにする手続き

労災保険が使えない場合には、健康保険を利用することによって、医療費の負担を抑えることができます。以下では、健康保険を利用する場合の手続きについて説明します。

  1. (1)医療費の支払いが済んでいない場合

    労災による怪我の治療には、健康保険を利用することができません。そのため、労災認定を受けることができると思っていた場合には、医療機関の窓口で労災である旨を伝えて治療を受けていることでしょう。

    しかし、その後、労災認定を受けることができなかった場合には、医療機関から被災労働者本人に対して、医療費全額の請求がなされることになります。医療機関から医療費の請求を受けたものの、まだ医療費を支払っていない段階であれば、医療機関の窓口で健康保険証を提示することによって、健康保険の適用を受けることができます。

    健康保険の適用を受けることができれば、医療機関からの請求は、医療費の3割程度に抑えられますので、被災労働者としてはその金額を支払えば足ります。

  2. (2)医療費の支払いを終えている場合

    医療機関に医療費を支払い済みであるという場合には、健康保険を利用した場合の自己負担分を超える部分について払戻しを受けることができます。

    医療費の支払いと同じ月に払戻しの手続きをする場合には、治療を受けた医療機関の窓口で払戻しを受けることができる場合もありますが、そうでない場合には、加入している健康保険組合や市区町村役場の保険課などで払戻しの手続きをすることになります。

    その際には、以下の書類が必要になりますので、あらかじめ準備しておくようにしましょう。

    • 支払った医療費の領収書
    • 診療報酬明細書(レセプト)
    • 保険証
    • 医療費の振込先の口座がわかるもの

3、労災認定されないケース

労災認定を受けることができないケースとは、どのようなケースなのでしょうか。以下では、労災の認定基準と労災認定されない具体的なケースについて説明します。

  1. (1)労災の認定基準

    労災には、大きく分けて「業務災害」と「通勤災害」の2つがあります。業務災害と通勤災害では、労災の認定基準が異なってきますので、以下では、それぞれの認定基準について説明します。

    ① 業務災害の認定基準
    業務災害とは、業務中の出来事が原因となって発生した傷病のことをいいます。業務災害の認定を受けるには、「業務遂行性」および「業務起因性」という2つの要件を満たす必要があります。

    • 業務遂行性
      業務遂行性とは、被災労働者と使用者との間に指揮監督関係があることをいいます。労働者が事業所内で仕事をしている場合には当然業務遂行性が認められますが、休憩時間中であっても事業所内で行動をしている場合には、業務遂行性があると認められます。

      また、出張中など使用者の管理下を離れている場合であっても、使用者による支配下にあることは変わりませんので、業務遂行性は認められます。

    • 業務起因性
      業務起因性とは、業務と傷病との間に因果関係があることをいいます。業務災害として認定を受けるためには、業務に起因して傷病が発生したという関係があることが必要になります。

      なお、業務遂行性は、業務起因性の前提として判断される要件ですので、業務遂行性が認められない場合には、当然業務起因性も認められません。


    ② 通勤災害の認定基準
    通勤災害とは、通勤中の出来事が原因となって発生した傷病のことをいいます。通勤災害と認定されるためには、労災保険法が定める「通勤」の要件を満たす必要があります。

    労災保険法上の通勤とは、以下の移動を合理的な経路および方法によって行うことをいいます。

    • 住居と就業場所との間の往復
    • 就業場所から他の就業場所への移動
    • 住居と就業場所との間の往復に先行し、または後続する住居間の移動


    なお、合理的な経路を逸脱したり、移動を中断したりした場合には、その後の移動は原則として通勤にはあたりません

  2. (2)労災認定を受けることができないケース

    労災認定を受けることができないケースとしては、以下のケースが挙げられます。労災認定を受けることができなかった方は、ご自身のケースがこれらのケースに当てはまっているかどうかを再度確認するようにしましょう。

    ① 休憩時間中のキャッチボールでの負傷した場合
    休憩時間中であったとしても、事業所内で休んでいる場合には、業務遂行性は認められます。しかし、休憩時間中のキャッチボールは、業務とは無関係な私的行為ですので、それによって負傷をしたとしても業務起因性が認められません。
    そのため、休憩時間中のキャッチボールで負傷したとしても労災認定を受けることはできません。

    ② 個人的な恨みによる暴行によって負傷した場合
    労働者が業務に従事しているときに、労働者が個人的恨みにより第三者から暴行を受けたとしても、業務とは無関係な事情ですので、業務起因性は否定されます。そのため、個人的な恨みによる暴行によって負傷したとしても労災認定を受けることはできません。

    ③ 終業後居酒屋に立ち寄って帰宅する際に事故にあった場合
    会社から自宅に帰るまでの間に事故に遭った場合には、通勤災害と認められます。
    しかし、帰宅途中に居酒屋に寄った場合には、通勤の逸脱・中断にあたりますので、それ以降の移動については、「通勤」とは認められません。
    そのため、居酒屋に立ち寄った後に事故に遭ったとしても労災認定を受けることはできません。

4、労災認定されない結果に納得できないときは?

労災申請をしたものの労災が認定されなかった場合でも諦める必要はありません。結果に納得できない場合には、以下のような対応をとることができます。

  1. (1)審査請求

    労災の認定結果に不服がある場合には、審査請求という手続きによって、決定内容を争うことができます。審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に各都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官に対して、口頭または書面の提出によって行います。

  2. (2)再審査請求

    労働者災害補償保険審査官の審査請求の結果にも不服がある場合には、再審査請求という手続きによって争うことができます。再審査請求は、審査請求を棄却する決定書の送付日の翌日から2か月以内に、東京にある労働保険審査会に対して行います。

    なお、審査請求から3か月経過しても決定がなされない場合には、請求を棄却したものとみなして再審査請求をすることができます

  3. (3)取消訴訟

    労働保険審査会の決定にも不服がある場合には、裁判所に原処分の取り消しを求めて取消訴訟を提起することができます。取消訴訟は、再審査請求の裁決があったことを知った日から6か月以内に行わなければなりません。

    取り消し訴訟では、労働者側で労災認定がされるべきであることを主張立証していかなければなりませんので、個人で進めるのではなく、労災事故に精通した弁護士のサポートを受けながら進めていくとよいでしょう

5、まとめ

労災の認定がされなかった場合には、労災保険ではなく健康保険を利用して治療を受けることになります。もっとも、労災認定されなかった場合であっても、審査請求などの不服申し立てをすることによって、結論が覆ることがありますので、決定内容に不服がある場合には、弁護士に相談をして、不服申し立ての手続きを進めていくとよいでしょう。

労災被害でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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