0120-538-013

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ 24時間・365日受付
メニュー メニュー

借金を相続放棄できないことはある? 相続放棄する際の注意点

2023年03月02日
  • 相続放棄・限定承認
  • 借金
  • 相続放棄
  • できない
借金を相続放棄できないことはある? 相続放棄する際の注意点

裁判所が公表している司法統計によると、令和3年にさいたま家庭裁判所に申立てのあった相続放棄の申述件数は、1万1981件でした。

相続する財産に借金があることが判明した場合、相続放棄という手続きをすることで、マイナスの財産の相続を回避することができます。

しかし、相続放棄には期限が設けられているため、期限が経過してしまった場合には、相続放棄ができなくなります。また、相続放棄前に遺産を使用すると放棄できなくなるなど、一定の行為をすると相続放棄ができなくなってしまう点にも注意が必要です。

今回は、相続放棄ができないケースや相続放棄をする際の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスの弁護士が解説します。

1、借金を相続放棄できないケース

相続放棄をすれば被相続人(亡くなった人)の借金を相続しなくてもよくなります。しかし、以下のようなケースでは相続放棄をすることができませんので注意が必要です。

  1. (1)期限を過ぎている

    相続放棄をする場合には、法定(法で定めらた)期限内に家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません。相続放棄の期限のことを「熟慮期間」といい、熟慮期間は、相続の開始を知った日から3か月とされています。

    一般的には、被相続人の死亡を知った日から熟慮期間はスタートしますが、法定の相続順位が高い「先順位の相続人」がいる場合には、先順位の相続人が相続放棄をしたこと知った日から熟慮期間がスタートします。

    相続順位は、配偶者、子ども、父母、兄弟姉妹の順で優先されます。詳しくは「2、(2)相続放棄をすると次の順位の相続人に相続権が移る」で後述します。

    なお、熟慮期間が経過した後は、相続放棄ができなくなりますので、借金などのマイナスの財産がある場合は、早めに手続きを進めることが大切です。

  2. (2)遺産を使ったり、売却したりした

    被相続人の遺産を相続することを「単純承認」といいますが、一定の事由がある場合には、自動的に単純承認をしたものとみなされる「法定単純承認事由」となり、相続放棄ができなくなってしまいます。

    相続放棄ができなくなる自由は、以下の通りです。

    • 相続財産の全部または一部の処分
    • 熟慮期間内に相続放棄または限定承認をしない
    • 相続放棄後の背信行為(相続財産の隠匿、消費、財産目録への不記載)


    相続放棄をする前に、遺産である現金や預貯金を使って買い物をしてしまったり、不動産を売却してしまったりした場合、相続財産の処分にあたりますので、法定単純承認事由に該当し、相続放棄ができなくなるので注意しましょう。

  3. (3)借金を返済した

    被相続人の債権者から借金の返済を求められたら、応じてしまう相続人もいます。

    しかし、相続財産から借金の返済をしてしまうと相続財産の処分にあたり、相続放棄ができなくなってしまいます。ただし、被相続人の借金を相続人の固有財産から支払う分には問題ありません。

    相続放棄をすれば借金の返済は不要になりますので、債権者から返済を求められたとしても「相続放棄をする予定です」と伝えて、借金の返済は控えるようにしましょう。

2、相続放棄する際の注意点

相続放棄をする場合には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)期限内に手続きをする

    相続放棄には、熟慮期間という期限が設けられていますので、相続放棄をする予定の方は、期限内に手続きをするようにしましょう。

    ただし、諸事情によって期限内に相続放棄の手続きができない場合でも、家庭裁判所に期間の伸長の申立てをすることによって、相続放棄の期間を延ばしてもらえる可能性があります。

    期限内の手続きが難しいと思ったら、相続放棄の期間の伸長の申立てを検討しましょう。

  2. (2)相続放棄をすると次の順位の相続人に相続権が移る

    法定相続人には、以下のように相続の順位が定められています。

    • 第1順位:子ども
    • 第2順位:両親、祖父母
    • 第3順位:兄弟姉妹


    なお、配偶者は必ず1位と同等として優先されます。

    相続放棄をすると、相続権は次順位の相続人に移ることになります。たとえば、子どもが相続放棄をすれば、被相続人の両親に相続権が移り、被相続人の両親も相続放棄をすれば、被相続人の兄弟姉妹に相続権が移ります。

    被相続人に多額の借金があるなどの理由で相続放棄をする場合には、次順位の相続人も同様に相続放棄を検討する必要があります。

    相続放棄をする場合、他の相続人に事前にその旨を連絡しておけば、後々のトラブル防止になります。

  3. (3)他の遺産も相続できなくなる

    相続放棄をすることによって、借金などのマイナスの財産だけでなく、現金、預貯金、不動産などのプラスの財産も相続することができなくなります。

    そのため、借金や負債があるからという理由だけで相続放棄を選択するのではなく、マイナスの財産とプラスの財産とのバランスを見極めた上で相続放棄の判断をするようにしましょう。

  4. (4)相続放棄の撤回はできない

    家庭裁判所によって相続放棄が受理された後は、相続放棄を撤回することができなくなります。

    後日、借金を上回る遺産が発見されたとしても、相続放棄をしてしまうと遺産を相続できません。そのため、相続放棄をするかどうかは慎重に判断することが大切です。

3、借金を上回るプラスの財産がある場合には限定承認を検討する

借金を上回るプラスの財産がある場合には、限定承認を検討しましょう。

  1. (1)限定承認とは

    限定承認とは、相続により得たプラスの財産の限度で、借金などのマイナスの財産を引き継ぐ相続方法です。相続放棄をしてしまうと、マイナスの財産だけでなくプラスの財産も相続することができなくなってしまいますが、限定承認をすれば、一定の範囲の遺産を確保することが可能です。

    また、限定承認には、先買権という制度が認められています。先買権とは、裁判所が選任した鑑定人による鑑定額以上の額を支払うことによって、相続財産管理人によって相続財産を清算されることなく手元に残すことができる制度です。

    たとえば、自宅や家宝など手放したくない遺産がある場合には、限定承認を利用することで財産を手放さずにすむことができます。

  2. (2)限定承認を検討すべきケース

    限定承認を検討すべきケースとしては、以下のケースが挙げられます。

    1. ① プラスの財産とマイナスの財産の総額が不明な場合
      相続財産が明らかであれば、相続(単純承認)をするのか相続放棄をするのかの判断は容易です。

      しかし、熟慮期間内に相続財産の総額がわからない場合には、相続放棄をするかどうかが判断できません。安易に相続放棄を選択してしまうと、後日、多額の遺産が見つかった場合に大きな損失を被ることになります。

      限定承認をすれば、仮に借金があったとしてもプラスの財産の限度で相続すれば足りますので、相続人自身の負担はありません。後日、多額の遺産が見つかったとしても、相続権を放棄したわけではありませんので、それを相続することも可能です。

    2. ② 家業を引き継ぐ場合
      家業を引き継ぐ場合には、相続放棄をしてしまうと家業を引き継ぐために必要な土地、建物、設備を手放さなければなりません。

      しかし、限定承認であれば先買権を行使することによって、家業を続けるために必要な土地、建物、設備などを買い戻すことが可能です。それに加えて、被相続人が負っていた債務をプラスの財産の範囲内まで減らすことができますので、債務整理と同様の効果も期待できます。

    3. ③ 自宅や家宝を残したい場合
      すでに説明したとおり、限定承認には先買権という制度がありますので、限定承認の手続きのなかで先買権を行使すれば、自宅や家宝を残すことも可能です。

4、相続放棄は弁護士にご相談ください

相続放棄をお考えの方は、弁護士にご相談ください。

  1. (1)最適な相続方法をアドバイスしてもらえる

    遺産を相続する方法には、「単純承認」「相続放棄」「限定承認」という3つの方法があります。

    借金があったとしても、それを上回る遺産がある場合には、単純承認を選択するケースもありますし、借金がなかったとしても相続争いに巻き込まれたくないという場合には、相続放棄を選択するケースもあります。

    このようにどの相続方法を選択するのかは、遺産の内容や相続人の置かれている状況などによって異なってきます。最適な相続方法を選択するためにもまずは弁護士にご相談ください。

  2. (2)迅速かつ正確な相続財産調査が可能

    相続放棄をするかどうかは、相続財産の内訳を見なければ判断することができません。そのために必要になるのが相続財産調査です。

    弁護士であれば、相続人が把握していない遺産についても、各機関への照会によって明らかにすることができます。相続財産調査には、法律家の知識と経験が不可欠となりますので、熟慮期間内に調査を終えるためにも弁護士に相談することをおすすめします。

  3. (3)裁判所への申立てを任せることができる

    裁判所への申立てにあたっては、戸籍謄本などの必要書類も多く、すべてをひとりで対応するのは非常に大変な作業となります。

    しかし、弁護士に依頼をすれば、相続放棄申述書の作成から裁判所との対応まですべての手続きを任せることができますので、負担を大幅に軽減することができるでしょう。

5、まとめ

被相続人に借金がある場合には相続放棄をすることによって、借金を相続することを回避できます。しかし、熟慮期間が経過していたり、遺産を使ってしまったりなど法定単純承認事由に該当する事情があると相続放棄ができないことがあります。

このようなリスクを回避するためには、相続開始後は、早めに弁護士に相談をすることが大切です。相続放棄手続きをお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

0120-538-013

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ
24時間・365日受付

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

所沢オフィスの主なご相談エリア

埼玉県所沢市柳瀬地区、所沢市松井地区、所沢市富岡地区、所沢市並木地区、所沢市新所沢地区、所沢市新所沢東地区、所沢市所沢地区、所沢市吾妻地区、所沢市山口地区、所沢市三ケ島地区、所沢市小手指地区、上尾市、朝霞市、伊奈町、入間市、小鹿野町、小川町、桶川市、越生町、春日部市、加須市、神川町、上里町、川口市、川越市、川島町、北本市、行田市、久喜市、熊谷市、鴻巣市、越谷市、さいたま市、坂戸市、幸手市、狭山市、志木市、白岡市、杉戸町、草加市、秩父市、鶴ヶ島市、ときがわ町、戸田市、長瀞町、滑川町、新座市、蓮田市、鳩山町、羽生市、飯能市、東秩父村、東松山市、日高市、深谷市、富士見市、ふじみ野市、本庄市、松伏町、三郷市、美里町、皆野町、宮代町、三芳町、毛呂山町、八潮市、横瀬町、吉川町、吉見町、寄居町、嵐山町、和光市、蕨市、東京都清瀬市、東村山市、東大和市、武蔵村山市、瑞穂町、東久留米市、小平市周辺にお住まいの方

ページ
トップへ