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相続放棄ができる3つの条件|遺産の放棄を検討すべきケースと注意点

2023年04月20日
  • 相続放棄・限定承認
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相続放棄ができる3つの条件|遺産の放棄を検討すべきケースと注意点

令和3年(2021年)に埼玉県所沢市に寄せられた市民相談は2891件で、そのうち999件が相続に関する相談でした。相続時には、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も発覚し、対処に悩まれる方も少なくありません。

債務が多額である場合や、相続トラブルに巻き込まれたくない場合などには、相続放棄を検討することをおすすめします。

ただし、相続放棄には法律上の条件があり、条件を満たさないと相続放棄が認められないおそれがあります。確実に相続放棄を行うには、早い段階で弁護士に相談しましょう。

今回は相続放棄について、法律上の条件・検討すべきケースの例・注意点などをベリーベスト法律事務所 所沢オフィスの弁護士が解説します。

出典:「令和3年統計書」(所沢市)

1、相続放棄を行うための条件

相続放棄とは、遺産を一切相続しない旨の意思表示です。相続放棄をした者は、初めから相続人にならなかったものとみなされ、すべての相続分を失います(民法第939条)。

ただし、相続放棄を行うためには、以下の条件を満たす必要があります。ひとつでも条件を満たしていないと、相続放棄が認められない可能性があるので注意が必要です。

  • ① 相続開始を知った時から3か月以内に手続きを行うこと|例外あり
  • ② 相続財産を処分していないこと
  • ③ 相続放棄後に禁止行為をしないこと


  1. (1)相続開始を知った時から3か月以内に手続きを行うこと|例外あり

    相続放棄は原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ相続放棄申述書を提出して行わなければなりません(民法第915条第1項)。

    3か月の期間が経過すると、原則として相続放棄が認められなくなります(民法第921条第2号)

    なお例外的に、相続開始後に時間がたってから相続債務の存在が判明した場合などには、期間経過後でも相続放棄が認められる可能性があります。

    しかし、家庭裁判所に対する理由説明が必要になる上、確実に相続放棄が認められるとは限りません。そのため、期間に間に合うように相続放棄の準備を行いましょう。

  2. (2)相続財産を処分していないこと

    相続財産の全部または一部を処分した場合は、原則として、相続を選択したとみなされる「法定単純承認」が成立し、相続放棄が認められなくなります(民法第921条第1号)

    自ら相続財産を処分しておきながら、相続放棄を行うことは矛盾挙動に当たるためです。

    ただし例外的に、以下の「保存行為」については法定単純承認の対象外とされています。

    • 財産の価値を維持するための「修繕・管理」
    • 腐敗しそうな食品や物などの「処分」
    • 相続人の財産の中から借金を返済する「債務の弁済」
    • 以下の期間を超えない「短期賃貸借」
      ① 樹木の栽植・伐採を目的とする山林の賃貸借 → 10年
      ② ①以外の土地の賃貸借 → 5年
      ③ 建物の賃貸借 → 3年
      ④ 動産の賃貸借 → 6か月
  3. (3)相続放棄後に禁止行為をしないこと

    相続放棄をした後であっても、申述人が以下の行為をした場合には法定単純承認が成立し、相続放棄が無効となってしまいます。

    • ① 相続財産の全部もしくは一部を隠匿する行為
    • ② 相続財産を私的に消費する行為
    • ③ 相続財産を悪意で相続財産目録中に記載しない行為

2、相続放棄を検討すべきケースの例

相続放棄は、以下のようなケースにおいて有力な選択肢となります。相続放棄の条件に注意しつつ、確実に手続きの準備を進めましょう。

  • ① 遺産総額がマイナスである
  • ② 山林など管理の難しい不動産が遺産に含まれている
  • ③ 他の相続人に遺産を相続させたい
  • ④ 相続トラブルに巻き込まれたくない


  1. (1)遺産総額がマイナスである

    相続の対象となるのは、被相続人が死亡時に有した一切の権利義務です(民法第898条)。したがって、資産だけでなく債務(借金など)も相続の対象となります

    資産額を債務額が上回っている場合、遺産全体の価値はマイナスです。この場合、遺産を相続すると経済的に損をしてしまうので、相続放棄をすることが有力な選択肢となります。

  2. (2)管理の難しい不動産が遺産に含まれている

    不動産は、その所在地域・用途・状態などによっては、管理に相当な手間とコストがかかる場合があります。たとえば山間部の土地や築年数の古い建物などは、管理の難しい不動産の典型例です。

    管理の難しい不動産は、それ自体は一定の価値があるとしても、ランニングコストが発生することにより、長期的に見ればマイナスの財産となってしまう可能性があります。管理が重荷になる場合は、相続放棄も検討すべきでしょう。

  3. (3)他の相続人に遺産を相続させたい

    被相続人の配偶者や長男にすべての遺産を相続させるなど、特定の他の相続人に遺産を相続させたい場合に、相続放棄が行われるケースが見られます。

    遺産分割協議において合意すれば、特定の相続人にすべての遺産を相続させることはできます。そのため、相続放棄は必須ではありませんが、特定の相続人による遺産の相続を確実化するため、他の相続人が事前に相続放棄を行うことがあります。

  4. (4)相続トラブルに巻き込まれたくない

    相続放棄をすれば、遺産分割協議への参加が不要となるため、相続トラブルに巻き込まれることがなくなります。

    相続人同士の関係性が悪く、高確率で相続トラブルの発生が見込まれるようなケースで、遺産を相続できなくてもよいと考えている場合には、相続放棄を行うことを検討すべきでしょう。

3、相続放棄をする際の注意点

相続放棄をする際には、以下のポイントに注意する必要があります。相続放棄を行った後の手続きや対応をイメージして、きちんと検討と準備を行い、トラブルを回避しましょう。

  • ① 遺産を一切相続できなくなる
  • ② 次順位の法定相続人に相続権が移ることがある
  • ③ 相続財産の管理義務が残ることがある


  1. (1)遺産を一切相続できなくなる

    相続放棄をすると、遺産を一切相続できなくなります。
    思い入れのある財産がある場合でも、相続することを諦めなければなりません形見分けについても、金銭的価値のある財産については認められないので注意が必要です

    相続放棄をする際には、相続できなくなると困る財産がないかどうかを十分ご確認ください。

  2. (2)次順位の法定相続人に相続権が移ることがある

    相続人は、被相続人との関係によって、以下のように相続順位が定められています。

    第1順位 子ども(直系卑属)
    第2順位 父親・母親(直系尊属)
    第3順位 兄弟姉妹

    ※配偶者は必ず相続人となる

    相続放棄によって同順位の相続人がいなくなると、次順位の法定相続人に相続権が移ります。

    たとえば、被相続人の配偶者と子1人が相続人のケースで、子が相続放棄をするとします。この場合、まずは被相続人の父親・母親に、つぎに両親がすでに他界していれば被相続人の兄弟姉妹に相続権が移ることになります。

    ここで注意したいのが、子が相続放棄をしても、被相続人の配偶者は相続人のままであるという点です。

    被相続人の配偶者と子(親子)が遺産分割協議を行う場合よりも、被相続人の配偶者と被相続人の両親や兄弟姉妹が遺産分割協議を行う場合の方が、トラブルに発展する可能性が高いため、相続放棄については十分な考慮が必要といえます。

  3. (3)相続財産の管理義務が残ることがある

    相続放棄をしても、相続放棄時点において占有している相続財産については、相続人または相続財産管理人(2023年4月1日以降は相続財産清算人)に引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって管理(保存)しなければなりません(民法第940条第1項)。

    なお、同規定は2023年4月1日に施行される改正民法によって、以下のとおり変更されます。

    <改正前>
    (相続の放棄をした者による管理)
    第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
    <改正後>
    (相続の放棄をした者による管理)
    第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。


    いずれにしても、相続放棄をしただけでは、すべての相続財産について管理義務(保存義務)を免れるとは限らない点に注意が必要です。

    特に、相続放棄によって相続人がいなくなる場合には、家庭裁判所に相続財産管理人(2023年4月1日以降は相続財産清算人)の選任を申し立て、ご自身の占有している相続財産を引き渡す必要がある点にご留意ください。

    参考:「相続財産管理人の選任」(裁判所)

4、遺産相続のお悩みは弁護士にご相談を

相続放棄の条件や手続きなどを含めて、遺産相続についてのお悩みを抱えている場合には、弁護士への相談をおすすめします。

弁護士は、相続人の方がおかれている状況に応じて、どのように遺産相続へ対処すべきかを具体的にアドバイスします。実際の手続きはもちろん、相続トラブルの解決についても弁護士が対応可能です。

1日も早く弁護士にご相談いただくことが、悩みの早期解決につながります。遺産相続への対応にご不安な方は、まずは弁護士にご相談ください。

5、まとめ

相続放棄には法律上の条件があり、ひとつでも満たしていないと相続放棄が認められない可能性があります。確実に相続放棄を行うためには、早い段階で弁護士に相談することが大切です。

ベリーベスト法律事務所は、相続放棄を含む遺産相続に関するご相談を随時受け付けております。相続放棄の書類の準備や申述手続きに加えて、その後の債権者対応も弁護士に一任していただくことで、相続の負担は大きく軽減されます

相続放棄の条件や手続きについてご不安の方、その他の遺産相続に関するお悩みをお抱えの方は、ベリーベスト法律事務所 所沢オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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